スーパーファミコンRPG ザ・ラストバトル。
先ほどはゴールデンウィークのお気持ちを表明させてもらいましたので、せっかくだから私の大好きな作品、テイチクから発売されたスーパーファミコンソフト ザ・ラストバトルのレビューを書かせてもらおうと思います。発表された時にジャングルウォーズ(ポニーキャニオン)のスタッフが開発ということで非常に期待していました。ところが最初に決まっていた発売日からかなり発売が延びてしまい、ファミ通の評価が微妙だったのもあって、少し危険警報が出ていました。確かソフトは年末発売で自分が購入したのは受験が終わった後、3月くらいに3,000円くらいで新品を買えたのを思い出しました。
世界観はファンタジー、ゲームの開始は学校の授業が終わるところから始まります。凄く自然な感じで回復魔法を覚えられる流れは良かったです。で、今から主人公は16歳の誕生日で大人になる(真の名を授かる)儀式を受けることになります。儀式は夜から始まって移動は自分の家の前と儀式の舞台になる洞窟の近辺しか冒険できません。
家を出るときにに少し画面切り替えが遅い印象を受けました。少し嫌な予感がしました。メニューも階層がやや深く、切り替えは早いのでしたが窓の数は多い印象を受けました。
メニューを開くときは専用の画面に移行して、専用のBGMが流れます。フルートを装備していたら主人公のグラフィックが吹いているものに変わったりと、この辺りは細かいですね。
フィールドでウロウロしていると早速エンカウントしました! 戦闘に入るとキャラが勝手に動き出します。エルファリアをやっていたのでオートバトルには慣れているつもりでしたが、あれはキャラの場所(役割)が固定で、敵の位置も固定でした。ところが通常のRPGのように敵が出てきます。戦闘開始すると作戦で決めたように動いてくれます。アニメーションパターンがかなり多く準備されていて見た目で飽きることはありません。序盤からかなり戦闘バランスがキツくレベル上げをしないとすぐに負けます。特に主人公1人の時はかなり厳しいです。
作戦は設定の通りに動かないことが多いのでAIに少しストレスが溜まります。
フェナムンを貰った次の日にいきなり敵になる隣国のグルドリーケ軍が攻めてきます。
もう一つのメインパートである戦争パートが始まります。この戦争パートでは一定以上、うろうろしている敵を倒すかボスを倒せばクリアになります。
このグルドリーケ軍ことグルド軍との戦闘シーンのBGMは異常なカッコよさで、戦闘に華を持たせます。これまで結構シックなBGMの印象だったのが変わりますね。イベントの要所要所にボス戦がありますが、ここの曲も異常なまでのカッコ良さで気分が昂ぶります。
フィールドに出るとすさまじく勇ましいフィールドBGMがプレイヤーを迎えてくれます。
いよいよ物語が動き始めます。主人公クルトは自分たちの村を襲ったグルド軍が追っていた兵士より密書を預りシルヴェル城に届けることになります。兄弟国だったシルヴェルとグルドリーケ。密書によるとグルドリーケがシルヴェルに対し戦争を仕掛ける準備をしているものでした。そして主人公クルトは仲間を増やしてグルド軍と戦っていくことになります。最後にはグルドリーケの枢機卿ケッテリ、その背後にいる黒幕と戦うことになるのですが、このゲーム、ものすごくイベント数が少なくて、目的地までの移動、おつかい、レベル上げの戦闘が基本の流れになりますが他のRPGと比べても少ない印象を受けました。これはプレイが終わってすぐの印象です。ゲーム内の9割の時間は戦闘している印象でした。
他のゲームとの差別化としては、敵との戦闘で手に入るマナを組み合わせて新しい魔法を作るシステムもあります。これはあまり上手く稼働していなくて、役に立つ組み合わせが少ないのが残念でしたね。威力が強くなるとアニメーションが大きくなったりするのは良かったです。あと戦闘ではお金が手に入らずに、ランダムで手に入るほうせきのふくろを売ってやりくりしなくてはいけないのが面倒でした。
後半に行けば行くほど、敵が固く、戦闘に時間がかかっていきます。
そして最後のダンジョンに突入するともう戻れなくなる仕様です。MOTHER2(任天堂)と似ていますが、あれはそのシーンからラスボスまでそんなになかったのですが、このゲームはここからが本番と思えるくらいの長さで、これまではあまりなかった演出がボンボン出てくるようになります。これまでに一緒に戦ってきた仲間も集合してラスト感出てきます。
枢機卿ケッテリとの最終対決。こんな場所で話している時点でザコ間違いなしなのですが、意外にも強いです。枢機卿(すうききょう)という職業は悪いことをする偉い人だとこのゲームで教えてもらいました。魔界塔士サ・ガ(スクウェア)で大臣は全員悪い奴と教えてもらったのと似ていますね! ……しかし他のゲームだとプレイヤー側の良い理解者が多いのが枢機卿なので困っています。
ラスボス戦は、これまで何かを温存していたかのように派手な闘いになります。戦闘曲はラスボス用の曲があるのですが、この曲がファイナルファンタジーⅧ(スクウェア)のオープニングで流れるあのLiberi Fataliに似ているんですよ。こっちが1994年発売なのでパクリとかそういうのではないのですが……。最後の敵が魔女というのも似ています。偶然の一致だとは思うのですが。
もちろん、ラスボスは2段階目が用意されていて、この戦闘でゲームオーバー時の演出の意味がわかる粋なものとなっております。かなり長期戦になりますが、回復を怠らずにやっていければそこまで強いとは感じませんでした。
エンディングはとてもあっさりしたものですが、綺麗にまとまっていると思います。
そしてこの物語は幕を閉じるのですが、このゲーム、攻略本に製作者の木村初ことキム皇さんが続編をにおわせることを書いていて何故かそれが凄く気になっていました。その続編は出ていないのですが……。
もちろんこの作品単体ではすべての要素が上手くかみ合っているとは思えないのですが、システムそのものには輝く部分が多く、ハードの性能や調整時間さえきちんととれていれば化けたんじゃないかな?と思ってしまったんですよね。なんというか凄く惜しい作品でした。
世界観に関してもこの頃流行りだったファンタジー+少しのSF要素等がなく、完全なハイファンタジーなのも魅力がありました。
8曲しか入っていない販促用に配られたと思われるサントラもあって、自分は一昨年、偶然それを入手できたのもこの作品と何か縁があったのだと思います。曲は全てが最高レベルのものだと思いました。
最初にも出しましたが同じスタッフの制作したジャングルウォーズがこれまでのRPGの遊びやすさ・面白さを追求した作品だったことを考えると、このザ・ラストバトルは新しい要素がいっぱいですが、ややマニアックになった感じがしました。もう少しチュートリアルがしっかりしているなら、今なら受け入れられると思うんです。個人的にはもう3回も頭からクリアした作品なのでお気に入りなのは間違いないんですけどね!